開成社
かいせいしゃ地域に尽くした“郡長さん”を祀る
一里野温泉スキー場に隣接する丘陵上に、開成社という神社があります。ご祭神は、松本源祐命(まつもとげんゆうのみこと)。いわゆる「生き神様」として祀られた人です。
生きているうちに神格を与えてお祀りするほど、松本源祐氏は尾添(おぞう)地区の人々にとって大切な人でした。
松本源祐氏は、大正9年(1920)3月に、能美郡長として赴任。その1ヶ月後、当時能美郡だった尾添で大火があり、全戸数の8割が焼失。尾添は再起不能とまで言われました。
住民たちが意気消沈する中、松本郡長は3年間にわたって、身を挺して救済と復興にあたったそうです。
その際に松本郡長が抱いた構想が、①岩間温泉の開発 ②白山新道路の建設 ③東荒谷と尾添間の道路新設 という大事業です。
この事業は大正12年に完成。尾添の住民は感泣し、謝礼を固辞する松本郡長を、神様としてお祀りすることにしました。
神社の名前を「開成社」としたのは、人のまだ知らないところを開発して成し遂げた、その偉業をたたえる意味を込めたものです。
松本源祐氏はその後郷里の茨城県に帰り、昭和25年(1950)に亡くなりました。
尾添では昭和52年(1977)に、一里野温泉スキー場の開設と白山スーパー林道(現・白山白川郷ホワイトロード)の開通という大事業が成され、「これも五十年前に松本郡長の偉業があったからこそ」と、スキー場を見守る現在地に開成社を移設再建しました。
それから現在に至るまで、開成社は一里野の守り神として住民から敬われ、祭礼の際には松本氏の子孫の方の参列もあるなど、今も薄れることのない感謝の気持ちが息づいています。
基本情報
- 住所
- 石川県白山市尾添