白山市の晩春~初夏を彩る百花繚乱、ほんの一部をご紹介
美しい自然に取り囲まれた白山市は、四季折々に咲く花々も見事です。春を代表する桜はもちろん、森に抱かれてそっと咲く可憐な山野草など多彩。山林は場所が分かりにくく迷いやすいうえに、入山が規制されている場所も多くあります。そんなときは、白山市の現地ガイドが案内するプランや観光ガイドを依頼するなど、当サイトを活用すると便利です。
(※今回ご紹介の花々は、気候等により花の開花時期が大きくずれることもあります)
雪解け水の湿地に咲く
白く清楚な水芭蕉
山あいの湿地に咲く水芭蕉。カラーによく似た花ですが、その白い部分はじつは花びらではなく葉が変形した仏炎苞と呼ばれるもの。中央の円柱になった部分が花であり、小さな花がたくさん集まっています。本州の中部地方以北の日本海側と北海道に多く分布する花です。
白山ろくには2大群生地があり、その美しい姿に出会うことができます。
最も知られているのが白山市桑島の大嵐山の水芭蕉。標高1204mの大嵐山の中腹に位置する、県内最大の群生地です。車で桑島大橋を渡って約15分、大嵐駐車場から徒歩30~40分歩くと群生地に到着です。例年の見ごろは4月下旬~5月上旬ですが、除雪されていないため駐車場まで行けない年もあるそう。また駐車場からの徒歩も雪が残っている場合があるので、長靴を用意すると便利です。
※現在、大嵐山の水芭蕉は、途中道路の土砂崩れ発生により通行できません。復旧の目途はたっておりません。(2024年4月)
もうひとつの群生地は根倉谷(ねくらだに)園地です。白峰から市ノ瀬へ向かう県道33号沿いにありますが、冬は閉鎖している道路なので、開通してからのアクセスになります。道路沿いに案内看板がり、駐車スペースもあります。根倉谷園地には木道が整備されていて、ゆっくり歩いて楽しめます。こちらは大嵐山より1週間程度開花が早いとのことです。
花房が鮮やかなグラデーション
フジに囲まれてSNSアップ!
『源氏物語』や『枕草子』にも登場するように、フジ(藤)は日本古来の花です。白山ろくの山々でも4月下旬ごろから山あいにぽつんぽつんと咲くのが見られますが、ひとくちにフジといっても大きく分けて2系統の原種があります。つるが左巻きのヤマフジと右巻きのノダフジです。どちらも品種改良を重ね、現代では色も鮮やかで花房が長くふっくらと見ごたえのあるフジを楽しむことができます。
白山市でフジの花の名所といえば、矢頃島町の松任グリーンパークがあげられます。300mを超える藤棚が薄紫色とピンク色のフジの花で埋め尽くされ見事な風景に。見頃は例年5月上旬から中旬。園内にはほかにも花々が植栽されており、この時期はツツジも満開でより華やかです。
白山ろくでは、白山ろくテーマパーク吉岡園地で、広大な敷地にロックガーデンや大花壇などを整備。園地の国道157号沿いの歩道には長い藤棚が作られていて、こちらも薄紫色とピンク色のフジの花がグラデーションのように咲き乱れています。フジのトンネルを歩くことができ、SNS映えスポットとしても注目です。見頃は例年5月上旬から中旬です。
青い空がよく似合う
鮮やかな黄色のニッコウキスゲ
本州中部から北海道にかけて分布するニッコウキスゲ。ユリ科の花で黄色やオレンジ色の花がラッパ状に咲きます。分類名はゼンテイカですが、日光の尾瀬ヶ原や霧ヶ峰などの群落が有名であったことから、一般的にニッコウキスゲと呼ばれているそうです。
霊峰白山の登山道、観光新道の真砂坂あたりのお花畑でもニッコウキスゲの群落が見られ、白山の別山にも群落があります。
ニッコウキスゲの群落を見たいけど、登山をする体力がないという人におすすめなのが、標高800mにある高山植物園です。ここは高山植物を守り、種の保存を図るための低地栽培試験に取り組む白山高山植物研究会が運営する植物園。6月初旬~7月中旬にかけて約1ヶ月半だけ期間限定で一般公開(入園300円)をしています。園内には、ニッコウキスゲの群落をはじめ、約50種類の高山植物を植栽。駐車場から徒歩10分ほどの手軽さで、可憐な花たちに出会うことができます。ニッコウキスゲの例年の見ごろは6月中旬あたりです。
白山ろくに春を告げる
山の妖精とも呼ばれるカタクリ
木々がすっかり葉を落とした薄茶色の春の山。そんな雑木林の中に、雪解けを待っていち早く咲くのが紅紫色のカタクリの花です。ユリ科の多年草で花茎の高さは15cmほど。カタクリは種子で繁殖し、発芽から開花まで8年ほどかかるといいます。ひとつひとつは小さな花ですが、これが一面に群生して咲く姿は圧巻で、その中に辛抱強さや力強さが垣間見えるようです。花の開花期は10日間くらいとのこと。また、カタクリは日本の固有種であるギフチョウが花の蜜を吸いにやってくることでも知られ、見られたらラッキーです。
白山ろくで気軽にカタクリの群生を見ることができる2カ所をご紹介します。
まずは、観光ガイド「加賀白山ようごさった」が案内してくれる河内町福岡の里山です。ガイドからは、カタクリの話や林道途中に咲くキクザキイチゲやイワウチワ、ミヤマカタバミなど、愛らしい山野草の解説などもあり、往復で約2時間のハイキング。見頃は例年4月中旬~5月上旬です。
もうひとつは、白山瀬波のキャンプ場から約200m奥の山林です。例年3月下旬~4月上旬が見頃です。
やっぱり春の主役は桜でしょう!
白山市の主な見どころをご案内
海から里、山と変化に富んだ地形をもつ白山市は、地域ごとの気温差が大きいため、桜が次々に開花していく、いわゆる桜前線があるエリア。標高が低い日本海沿いの美川や松任地区から開花しはじめ、鶴来地区から白山ろくへと進み、標高約500mの白峰地区や尾口地区まで、1ヶ月以上も花が楽しめます。
まず先頭をきって咲き出すのが美川地区の河津桜で、こちらは3月中旬ごろが満開。4月になると美川アプリコットパークのオオシマ桜も満開に。松任地区では3月下旬からソメイヨシノがあちこちでほころび始め、松任城址公園をはじめ、松任中学校横の中村用水路沿い、西川通り、石川ソフトリサーチパーク内のやしこの水辺の桜などがあります。
鶴来地区には県内有数の花見スポット樹木公園があり、ソメイヨシノやしだれ桜、八重桜など、約130品種900本が順次開花し多くの花見客で賑わいます。5品種約300本の桜がある白山青年の家や、ソメイヨシノが約50本の古宮公園も見ごたえがあります。
白山ろくでは4月中旬頃から満開の桜が楽しめ、吉野工芸の里やバードハミング鳥越、桑島の里周辺など、緑の山の自然美に文字通り花を添えます。4月下旬ごろに満開を迎える白山市指定天然記念物の鴇ヶ谷のシダレ桜は、幹周約2.35m、樹高約18mで、樹齢約200年のパワーがみなぎっているようです。